
オメガ9脂肪酸はオリーブオイルに多く含まれている脂肪酸です。
オリーブオイルは体に良いというイメージがありますが、その理由をご存知でしょうか?
「なんとなく使ってみる」のではなく、特徴を知り、体により良い効果が得られるように活かしていきましょう。
それではオメガ9脂肪酸の種類や効果、正しい摂り方などについて、管理栄養士が詳しく解説していきます。
オメガ9脂肪酸とは

オメガ9脂肪酸は、不飽和脂肪酸の中の一価不飽和脂肪酸のことを指しています。
脂肪酸を構成する分子の2重結合が、端から数えて9番目にあるため、オメガ9脂肪酸といわれています。
オメガ9脂肪酸の代表的なものには、オレイン酸があります。
オレイン酸の他にも、パルミトレイン酸やミリストレイン酸などがありますが、日本人で摂取されるオメガ9脂肪酸の88%がオレイン酸となっています。
オメガ9脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールを低下させる働きがあり、動脈硬化や心疾患、脳血管疾患などの予防に役立ちます。
地中海料理がダイエットや生活習慣病に良いとされているのは、このオレイン酸を多く含むオリーブオイルを使用していることが理由の一つです。
オレイン酸は、食品以外にもハンドクリームや石鹸などに含まれています。
肌への馴染みが良く、美容効果も高く、人気の成分です。
パルミトレイン酸は、飽和脂肪酸に含まれるパルミチン酸から作られます。
肌の老化を防ぐといった美容効果があり、パルミトレイン酸が不足するとシワができやすくなります。
ミリストレイン酸はあまり馴染みのない脂肪酸ですが、身近なものでは馬油に多く含まれています。
シワやシミの対策になる他、関節リウマチにも効果的と言われています。
オメガ6脂肪酸やオメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸は、体内で合成されない必須脂肪酸ですが、オメガ9脂肪酸は飽和脂肪酸から合成されます。
体内で作り出すことができるので、必須脂肪酸ではありません。
▶ もっと詳しく:オメガ3・6・9 脂肪酸って何が違うの?栄養士が教える体に良い油・悪い油と、必須脂肪酸について
オメガ9の効果とは

オメガ9脂肪酸は、善玉コレステロールの数を減らさずに、悪玉コレステロールだけを減らすことができるのが特長です。
また、中性脂肪も増加させません。具体的な効果は次のとおりです。
- インスリン抵抗性が改善する
- コレステロール値を低下させる
- 動脈硬化を予防する
- 便秘を解消する
酸化しにくいという特徴があるので、加熱料理に使用しても効果が弱まらないというメリットがあります。
それぞれの特徴を活かして、調理法によって使い分けていくのが良いでしょう。
オメガ9脂肪酸の摂り方

油は脂肪酸の種類によって、体に与える影響が変わってきます。
飽和脂肪酸の多いバターや、オメガ6脂肪酸の多いサラダ油などの代用として、オリーブオイルを使用するのがオススメです。
摂取量について
平成27年度の国民健康栄養調査によると、オメガ9脂肪酸の1日の平均摂取量は、成人1人あたり19.21gとなっています。オメガ3やオメガ6は、摂取基準値が設定されていますが、オメガ9脂肪酸は、体内で合成されるため、摂取基準値は設けられていません。
しかし、油は1g=9kcalとなっており、大さじ1杯でも約110kcalあります。
摂りすぎは肥満の原因になりますので、必要以上に摂ることは控えた方が良いでしょう。
いつも使用している油の代用として使う程度にしておくのが、正しい使い方です。
注意点など
オメガ9脂肪酸の基準値は決められてはいませんが、アメリカの研究では、多量の摂取は肥満だけではなく、冠動脈性心疾患のリスクに繋がるとされています。オメガ9脂肪酸は、牛肉や豚肉にも含まれています。

非常に栄養価の高い食品ですが、コレステロールを上げる飽和脂肪酸も含まれているので、適量を守りながら摂取しましょう。
油を摂るときは、質と量どちらも意識することが大切です。
体に良い働きのある脂肪酸を、適量範囲内でとり入れることが健康に繋がります。
まとめ

善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールだけを下げてくれるというのが最大のメリットともいえます。
ただし、体に良いとは言っても、摂れば摂るだけカロリーは高くなります。
摂りすぎは太る原因となったり、さまざまな病気の元になりますので、適量を心がけながらとり入れていきましょう。
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